若手社員が辞める本当の理由とは?定着率改善の方法
- HUGME代表 高橋

- 6月11日
- 読了時間: 12分
「最近の若者論」では片付けられない、定着率を変えるための採用〜育成の見直し方
若手社員の早期離職は、「最近の若者は忍耐力がないから」ではなく、「入社前後の期待ギャップ」と「現場での関わり方の設計ミス」が積み重なった結果です。結論として、採用〜配属後3年までの“接続ポイント”を見直し、仕事のリアルな伝え方・オンボーディングと育成・フィードバックとキャリア対話の仕組みを整えることが、定着率改善の一番の近道になります。
【この記事のポイント】
要点1|本人だけの問題ではなく、企業側の“設計”に改善余地がある
正直なところ、多くの会社で「若手がすぐ辞める」と言われていますが、本人側だけの問題ではありません。入社前に聞いていた話と現場の実態のギャップ、配属後の放置や評価の仕方など、企業側の“設計”に改善余地があるケースがほとんどです。
要点2|離職理由は給料や労働時間だけではなく“見えない不安”の蓄積
実は、若手社員の離職理由は、「給料が低いから」や「労働時間が長いから」だけではありません。「成長実感がない」「自分の意見が聞かれない」「この先のキャリアが見えない」といった“見えない不安”が溜まっていくことで転職サイトを眺める時間が増えていきます。
要点3|採用・育成・対話の3点を一貫設計し、安心感を作ることが鍵
失敗しないためには、採用の段階から「リアルな仕事内容と評価基準」を伝え、入社後1年目〜3年目のオンボーディングと育成のプロセスを設計し直し、定期的な1on1やキャリア面談を通じて“ここにいてもいいかもしれない”と思える瞬間を増やしていくことが重要です。
この記事の結論
結論1|“思っていた毎日”と“実際の毎日”のギャップが放置されることが本質
一言で言うと「若手社員が早期離職する一番の理由は、“思っていた仕事・職場”と“実際の毎日”のギャップが放置され、自分の成長や未来が見えなくなるから」です。
結論2|採用・配属・評価の三つを一貫させ、入社後3年間で安心感を育てる
最も重要なのは、「採用メッセージ」「配属と育成」「評価とキャリア対話」の三つを一貫させ、特に入社後3年間で、“この会社で成長できている実感”と“相談できる相手がいる安心感”をつくることです。
結論3|福利厚生だけでなく、現場のマネジメントと育成の設計を整える
失敗しないためには、表面的な“福利厚生の強化”だけでなく、現場のマネジメントと人材育成の設計(オンボーディングプログラム・1on1・キャリア面談・フィードバック文化)を整えることが欠かせません。
若手社員が早期離職する主な理由
理由1|入社前後の「期待ギャップ」が放置されるから
若手が辞めるとき、よく聞く言葉があります。
「思っていた仕事と違った。」 「説明会で聞いていたイメージとは、少し違う。」
この“少し違う”が、半年〜1年かけて静かに大きくなっていきます。
よくあるのが、こんな行動パターンです。
入社前、企業サイトや説明会で、“やりがい”や“成長”の言葉を何度も目にする
入社後、最初の数か月は研修やOJTで忙しく、毎日が新鮮
半年を過ぎたあたりから、「この仕事を続けた先に、自分はどんなスキルが身につくのか」が気になり始める
夜、何となく転職サイトを開き、「○年目 キャリア」「20代 転職」などの検索窓に文字を打ち込んでしまう
正直なところ、「期待ギャップ」をゼロにすることはできません。 しかし、「どのあたりがギャップになりやすいか」「そのギャップをどう埋めていくか」を、会社側が意図的に設計しているかどうかで、離職率は大きく変わります。ギャップそのものは避けられないとしても、それを放置するか、対話で埋めるかで、結末は大きく変わってくるのです。
【ここでのポイント】
採用時に“きれいな部分だけ”を見せるのではなく、「大変なところ」「向いていない人の特徴」も正直に伝える
入社後3か月以内に、「入社前のイメージと違った点」を話す1on1を必ず実施し、お互いにギャップを言語化する
ギャップが見つかったら、すぐに評価や指導につなげるのではなく、まず受け止めることを意識する
理由2|配属後のオンボーディングと育成が「属人的」になっているから
「配属ガチャ」という言葉があるように、
上司・先輩に恵まれた若手は定着しやすく
逆の場合は、どれだけ会社の制度が整っていても離職リスクが高まる
という現実があります。
よくあるのが、こんな現場です。
OJT担当は決めたものの、育成の方針やプランはなく、「とりあえず一緒に動いて」と現場任せ
上司は忙しく、「何かあったら言って」と言うが、その“何か”を言うタイミングがなかなか訪れない
若手は、失敗するのが怖くて、“分からない”と言えずに夜な夜なマニュアルとにらめっこ
私自身、新卒で入った会社で、最初の上司が本当に良い人でした。
週1で10〜15分の振り返りの時間を必ず確保してくれる
うまくいかなかったことも、「どこまで自分で考えた?」と一緒に整理してくれる
そのおかげで、多少キツい時期も「ここでもう少し頑張ってみようか」という気持ちを持てました。
一方で、別の部署に異動した同じ同期は、
「正直なところ、誰も気にかけてくれている感じがしない。 なので、“自分もここにいていいのかな”という気持ちになってきてしまって。」
と、半年で辞めていきました。同じ会社の中でも、配属先によってここまで体験が変わってしまうのは、組織として大きな機会損失です。
【ここでのポイント】
配属後3か月〜1年の“オンボーディングプログラム”を会社として設計し、属人的にしない
「最初の1か月で何を経験させるか」「誰がどんな頻度で1on1をするか」を明文化する
OJT担当者にも、関わり方の基本(声かけ・振り返りの型・任せ方)を伝えておく
理由3|「成長実感」と「キャリアの見通し」が持てないから
若手の離職理由で特に目立つのが、
「この仕事を続けても、自分がどう成長するのかが分からない。」
「5年後・10年後のキャリアのイメージが持てない。」
というものです。
よくあるのは、
日々の仕事は忙しい(残業も多い)
でも、「自分にどんなスキルがついているか」を誰も一緒に整理してくれない
昇進・昇格の条件も“なんとなく”しか知らず、「上の人を見ていても、自分がそこにいるイメージが湧かない」
そんな状態で、久しぶりの同窓会に参加します。 別の会社にいる友人が、
「うちは3年目でこんなプロジェクトを任せてもらえて、今こんなチャレンジしていてさ。」
と話しているのを聞いたとき、胸の中に複雑な感情が生まれます。
帰りの電車でスマホをいじりながら、
「正直、自分はこのままでいいんだろうか。」
というつぶやきが頭の中をループし始める。SNSや同期との比較が容易な時代だからこそ、「自分の現在地」をきちんと言語化してくれる存在が、本人にとって貴重な支えになります。
【ここでのポイント】
半期に1回は、若手と一緒に「この半年で身についたスキル」「できるようになった仕事」を棚卸しする
キャリアパスを一方的に説明するのではなく、「3年後どうなっていたい?」を対話しながら、“本人の言葉で描く未来”と会社の選択肢をすり合わせる
上の世代のロールモデルだけでなく、3〜5年先輩のリアルな体験談を聞ける場を作る
若手社員の定着率を高める具体的な改善策
改善策1|採用段階から「リアルを伝える採用」に切り替える
早期離職を減らすには、入社前のコミュニケーションから見直す必要があります。 きれいなスローガンだけではなく、“リアルな日常”をちゃんと伝えること。
【具体的な打ち手】
現場社員の1日のスケジュールを、そのまま載せる
「8:30 出社」「9:00 チームミーティング」「10:00〜12:00 顧客訪問」など、時間単位で
「この仕事の大変なところ」「向いていない人の特徴」を明示する
例:「変化が激しいので、“毎日同じことを繰り返したい人”には合わないかもしれません。」
内定〜入社までの間に、“現場社員との座談会”を設け、質問をぶつけられる場をつくる
私は、ある企業の採用ページリニューアルを手伝った際、
「この仕事はここがキツい」
「それでも続けている理由」
を、現場の若手3人にそれぞれ語ってもらう構成にしました。
公開後に人事担当者から、
「正直なところ、“大変さ”まで書くのは怖かったです。 でも、そのページを見て応募してくれた人は、面接でも“あの部分を読んだうえで、それでもやってみたいと思いました”と話してくれるんです。」
という声をもらいました。応募数が短期的に減っても、定着率が上がれば、長期的にはずっと健全な採用になります。
改善策2|入社後1年目〜3年目の「オンボーディングと育成」を設計する
若手定着のコアは、実は“初期の育成設計”です。
【1年目にやるべきこと】
1か月ごとの目標と振り返り
「最初の1か月で覚えること」「3か月目までにできるようにしたいこと」を明文化
週1〜隔週の1on1
「仕事の振り返り+メンタルの状態+チームや会社への疑問」を聞く場
同期・メンターとの定期的なフォロー会
【2〜3年目にやるべきこと】
「任せる仕事のレベル」を段階的に引き上げる
サブリーダー・小さなプロジェクトの担当など
半年に1回のキャリア対話
「今の仕事のどこが楽しいか/しんどいか」「3年後どうなっていたいか」を口に出してもらう
あるIT企業では、入社3年目までの育成カリキュラムを細かく設計した結果、
3年以内の離職率が30%台→10%台に下がった
という事例もあります(社内発表ベース)。
私が実際に見た現場でも、
「3年目にプロジェクトリーダーを経験してもらう」
というステップを入れたことで、
「実は、それまでは“言われたことをきちんとやる”だけでした。 小さくても“任せてもらえた”経験が、自分の中のスイッチを押してくれた感じがします。」
と話す若手が増えていました。「任される経験」は、若手にとって最大の成長機会であり、定着のきっかけにもなります。
改善策3|フィードバックとキャリア対話の“場”をつくる
若手が辞める前には、必ず「誰にも言えていない不満や不安のストック」があります。 それを溜め込ませず、早めに外に出せる場をつくることが大切です。
【具体的な打ち手】
月1回の1on1
数字やタスクだけでなく、「最近のモヤっと」「嬉しかったこと」「学んだこと」を必ず聞く
半期に1回のキャリア面談
「今の仕事のどこが成長につながっていると感じるか」を一緒に整理する
上司からのフィードバックは、「事実+具体行動+次の一歩」の形で
例:「先週のプレゼンで、質問に対して落ち着いて聞き返せていたよね。あの姿勢はすごく良かった。次は、もう一歩、自分から“こういう案もあります”と出してみよう。」
私は、ある会社で若手向けのキャリア面談に同席したことがあります。 そこで印象的だったのは、面談の最後に上司がこう言った一言です。
「正直なところ、3年後もここにいるかどうかは、今決めなくていい。 でも、君がどこに行くとしても、“ここでの3年間が意味のある時間だったな”と思えるように、一緒に考えたい。」
その若手は後に別の部署へ異動しましたが、
「あの面談があったから、“この会社の中で別のチャレンジをする”という選択肢が見えました。」
と話していました。引き止めではなく、「あなたの人生を一緒に考える」というスタンスが、結果として組織への信頼を深めるという好例です。
よくある質問(FAQ)
Q1:若手社員の離職理由で多いのは何ですか?
A1:「成長実感がない」「仕事内容がイメージと違った」「人間関係・上司との相性」「将来のキャリアが見えない」といった理由が多いです。複数が重なって退職につながるケースがほとんどです。一つの大きな理由よりも、小さな違和感の積み重ねが決め手になることが多いという特徴があります。
Q2:給料や労働時間を改善しない限り、離職は防げませんか?
A2:待遇も重要ですが、「成長機会・フィードバック・キャリアの見通し」が整うことで、同程度の待遇でも定着率が上がる事例は多くあります。条件面の改善は時間も予算もかかるので、関わり方の改善から先に手をつけるのが現実的です。
Q3:若手のメンタルケアとして何をすべき?
A3:メンタル専門の仕組みだけでなく、日常の1on1で「最近のコンディション」「仕事以外での生活リズム」なども軽く聞ける関係性づくりが重要です。深刻になる前に小さなSOSをキャッチできる環境こそが、本当の意味でのケアになります。
Q4:全ての若手に手厚く関わる時間がありません。優先順位は?
A4:入社1年目〜3年目は優先度高くフォローしつつ、特に「仕事量が多い人」「変化の多い現場の人」「表情が曇りがちな人」には意識的に時間を割くと効果的です。全員に均等に時間を配るより、メリハリをつける方が結果的に効果的です。
Q5:上司側にも余裕がなく、育成どころではない現場もあります。どうすべき?
A5:まずは「やめる業務」「任せる業務」を棚卸しし、育成の時間を意図的に捻出する必要があります。育成自体が中長期の生産性向上につながることを経営レベルで共有することも重要です。育成の時間が確保できないと、結局は離職コストとして跳ね返ってきます。
Q6:若手が「何を考えているか分からない」ときの打ち手は?
A6:質問の質を変えることが有効です。「どう?」ではなく、「最近“楽しかったこと・しんどかったこと”をひとつずつ教えて」と具体的に聞くと、本音が出やすくなります。抽象的な質問には抽象的な答えしか返ってこないものです。
Q7:離職を完全にゼロにすることは可能ですか?
A7:現実的ではありません。ただ、「早期離職の原因を分析し、改善サイクルを回すこと」で、“防げたはずの離職”は確実に減らせます。退職者へのインタビューを丁寧に行い、組織として学び続ける姿勢が大切です。
Q8:副業や転職が当たり前の時代に、定着を目指す意味はありますか?
A8:あります。たとえいずれ外に出るとしても、「ここで力をつけた」「ここでの経験が土台になっている」と思ってもらえる関係を築くことは、企業のブランド価値にも直結します。元社員がリファラルで人を紹介してくれることもあり、長期的な恩恵は大きいです。
Q9:小さな会社でも、ここまで手厚くできるでしょうか?
A9:全てを一度に行う必要はありません。まずは「入社前の情報の出し方」「1年目のフォロー」「半年ごとのキャリア対話」など、影響の大きいポイントから小さく始めるのが現実的です。むしろ少人数の会社の方が、経営者と現場の距離が近く、運用がスムーズに回ることもあります。
まとめ
若手社員が早期離職する背景には、「期待と現実のギャップ」「オンボーディングと育成の設計不足」「成長実感とキャリアの見通しの欠如」が同時に存在していることが多いです。
正直なところ、“若手の意識の問題”にしてしまうのは簡単です。ただ、それでは何も変わりません。採用時のメッセージ、配属後3年間の育成プロセス、日常のフィードバックとキャリア対話の3つを見直すことで、若手が「ここでもう少し頑張ってみよう」と思える環境をつくることができます。
実は、「特別な制度」を増やさなくても、採用時に仕事のリアルを伝える、入社後の育成ステップを見える化する、1on1で成長と不安を一緒に整理する、といったシンプルな取り組みを続けるだけで、“辞めていく若手が当たり前”の組織から、“若手が育ち続ける土壌のある組織”へと少しずつ変わっていきます。
いま、あなたの組織で一番強く感じている課題は、「採用段階のミスマッチ」「配属後のフォロー不足」「キャリア・成長対話の欠如」のどれに近いでしょうか? そこから優先順位を一緒に整理していくと、具体的な打ち手が見えやすくなります。




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