男性育休の取得が進む企業と進まない企業の違い
- HUGME代表 高橋

- 3月5日
- 読了時間: 9分
男性育休取得率の企業差の背景を整理し、取得促進につながる環境づくりを解説します
男性育休取得率の企業差の最大の違いは、「制度はある前提で、職場の風土・上司の理解・業務設計まで一体的に整えているかどうか」です。一言で言うと、取得が進む企業は「取っていい」ではなく「取るのが当たり前」の空気をつくる仕組みを持ち、進まない企業は「最低限の法令順守」にとどまり、現場に任せきりになっている傾向があります。
【この記事のポイント】
男性育休の取得率は企業間格差が大きく、取得率50%以上の企業がある一方で、5%未満の企業が半数近くを占めます。
取得が進む企業の共通点は「経営トップのコミット」「上司への働きかけ」「経済的支援」「目標とデータの見える化」です。
進まない企業の特徴は「方針がない」「制度の周知不足」「職場の雰囲気」「自分にしかできない仕事」がボトルネックになっていることです。
今日のおさらい:要点3つ
男性育休取得率の企業差は、「制度の有無」より「方針と風土」と「上司の理解」によって生まれます。
男性育休取得率を高めるには、「目標設定」「個別アプローチ」「取得事例の共有」「経済的支援」の4点セットが有効です。
男性育休取得率を上げる取り組みは、定着率向上・モラール向上・人的資本の観点からも企業の業績にプラスに働く可能性があります。
この記事の結論
結論として、 男性育休取得率の企業差の背景には、「企業の明確な方針」「上司の理解と働きかけ」「職場の雰囲気」「業務設計と代替要員」の4つの違いがあります。
一言で言うと、 取得が進む企業は、男性育休を経営課題として位置づけ、目標を掲げ、上司への研修・個別勧奨・経済的支援まで含めた仕組みを整えています。
進まない企業では、「特に方針はない」「最低限の法令順守でよい」という認識が多く、職場が育休を取りづらい雰囲気、自分しかできない業務、評価低下への不安などが障壁になっています。
男性育休取得率向上のポイントは、「取る・取らない」を本人任せにせず、子どもが生まれた男性社員と上司に対する個別アプローチや、取得事例の社内共有など、組織側からの働きかけを標準化することです。
男性育休を推進した企業では、離職率の低下、従業員エンゲージメントの向上、業務の属人化解消など、長期的な企業価値向上につながる効果も報告されています。
男性育休取得率が高い企業と低い企業は何が違うのか?
結論として、男性育休取得率が高い企業は「制度」「風土」「業務設計」の三位一体の取り組みがあり、低い企業は「制度はあるが実際には使われない」状態に留まっています。一言で言うと、「制度の整備」だけでは不十分で、「使われる前提の文化づくり」と「具体的な運用ルール」が決定的な差を生んでいます。
男性育休取得率の企業差を生む要因とは?
男性育休取得率の企業差を分析した調査では、取得率50%以上の企業が約2割ある一方で、5%未満の企業が約半数を占める「5%の壁」が確認されています。
取得率が低い企業では、「特に方針はない」「最低限の法令順守でよい」と考える企業が多く、制度があっても現場に周知されていなかったり、上司がネガティブなメッセージを発していたりといった特徴が見られます。
一方で、取得率が高い企業では、経営トップがメッセージを出して取得率100%などの目標を明示し、男性本人や上司への個別勧奨、一定期間の有給化などの経済的支援をセットで実施していることが共通点として挙げられています。
男性育休を阻む「職場の雰囲気」とは?
一言で言うと、「職場が育休を取りづらい雰囲気」が、男性育休取得率の企業差を生む最大の見えない要因です。
男性が育児休業を取得しなかった理由として、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だった」「自分にしかできない仕事があった」「業務が繁忙で人手不足だった」などが多く挙げられています。
これは、制度そのものよりも、上司が「本当に取っていいの?」と暗にブレーキをかける、長時間労働が常態化し誰かが抜ける前提の業務設計になっていない、育休を取った社員のその後のキャリアが見えず不安が強い、といった心理・文化面のハードルが高いことを意味します。
男性育休取得率を高める企業の共通点
最も大事なのは、「男性育休を『特別な人の選択』ではなく『全員が一度は通る当たり前の選択』として位置づけること」です。
くるみん認定企業や男性育休100%企業の事例を見ると、次のような共通点があります。
トップメッセージ: 経営者が自ら男性育休の重要性を発信する。
目標設定: 男性育休取得率100%など、期限付きの数値目標を掲げる。
取得勧奨: 子どもが生まれた男性社員と上司に対し、個別に取得を勧奨する。
経済的支援: 一定期間の有給扱い、ボーナスへの不利益影響を抑える。
事例共有: 取得者の体験談や家族の声を発信し、不安を減らす。
三井不動産やセイコーグループなどでは、男性育休の有給化や座談会・復帰支援制度を組み合わせ、男性育休取得率100%超、平均取得日数67日以上といった成果を上げています。
男性育休取得率を上げるには何をすべきか?(具体的ステップ)
結論として、男性育休取得率を上げるには、「方針づくり→仕組みづくり→風土づくり」を順に進めることが効果的です。一言で言うと、経営・人事・現場がバラバラに動くのではなく、共通の目標のもとで一体的に取り組むことが成功の条件です。
ステップ1〜3:方針と目標を明確にする
初心者がまず押さえるべき点は、「社内の公式方針」と「数値目標」を言語化することです。
ステップ1:経営方針の明文化 「男性育休取得を推進する」「仕事と育児の両立を支援する」といった基本方針を、トップメッセージや行動指針として打ち出します。
ステップ2:数値目標の設定 「〇年度までに男性育休取得率100%」「平均取得日数〇日以上」など、具体的な目標を掲げます。
ステップ3:人事制度との整合性チェック 評価・昇進・賞与への影響が不利にならないよう、人事制度と整合性を取り、「育休取得による不利益がない」ことを明示します。
例えば、男性育休取得率を100%に引き上げた企業では、「子どもが生まれた男性社員は、原則として必ず一定期間の育休を取る」というルールを設定し、例外を極力認めない運用を行っています。
ステップ4〜7:個別アプローチと業務設計の見直し
男性育休取得率の企業差を縮めるには、「本人任せにしない個別アプローチ」と、「自分にしかできない仕事」を減らす業務設計が欠かせません。
ステップ4:対象者・上司への個別説明 子どもが生まれる男性社員とその上司に対し、制度説明・取得パターンの提案・業務調整の方針を個別に伝えます。
ステップ5:業務の棚卸しと引継ぎテンプレート化 担当業務を洗い出し、代替要員やチームで引き継げるよう、マニュアルやチェックリストを整備します。
ステップ6:休業パターンの選択肢提示 1か月以上の中長期取得だけでなく、産後8週間の集中的な取得や、分割取得など複数の選択肢を提示します。
ステップ7:上司への支援と評価 男性育休を後押しした上司を評価に反映する、イクボス研修を実施するなど、「育休を支えるリーダー」を増やします。
調査では、取得率20〜50%の企業で1か月以上の取得者が最も多く、柔軟な取得パターンを認めている企業ほど、男性育休が浸透しやすい傾向が示されています。
ステップ8〜10:風土づくりと情報開示(人的資本経営)
最も大事なのは、男性育休を「一過性のキャンペーン」で終わらせず、人的資本・DEI(多様性・公正性・包摂)戦略の一部として位置づけることです。
ステップ8:社内コミュニケーション・事例発信 社内報や座談会で、男性育休取得者やその上司・家族の声を共有し、ポジティブなロールモデルを増やします。
ステップ9:人的資本情報としての開示 上場企業などでは、男性育休取得率や平均取得日数を人的資本情報として開示し、ステークホルダーに取り組みを示します。
ステップ10:定期的な振り返りと改善 取得率・取得日数・現場の声を定期的にレビューし、制度・運用・コミュニケーションをアップデートします。
調査研究では、男性育休の普及は従業員のモラールや定着率を高め、結果的に企業業績にプラスに働く可能性が指摘されています。こうしたデータを経営会議で共有することも、男性育休取得率の企業差を縮める重要な一手です。
よくある質問
Q1. 男性育休取得率が高い企業の一番の特徴は何ですか?
A1. 取得率100%や未取得者ゼロなどの目標を掲げ、経営トップのメッセージと上司への働きかけ・経済的支援をセットで行っている点が大きな特徴です。
Q2. 男性育休取得率が低い企業でよくある課題は?
A2. 方針が明確でなく、制度周知も不足し、「職場が育休を取りづらい雰囲気」や「自分にしかできない仕事」が多いことが代表的な課題です。
Q3. 男性社員が育休を取りたがらない主な理由は何ですか?
A3. 職場の雰囲気、業務の忙しさ、自分にしかできない仕事、キャリアへの不安などが主な理由として挙げられています。
Q4. 中小企業でも男性育休取得率を上げられますか?
A4. 業務の棚卸しとマニュアル化、小刻みな取得パターンの導入、経営者からのメッセージ発信など、規模に合った工夫での向上は十分可能です。
Q5. 男性育休を有給化する企業が増えているのはなぜですか?
A5. 収入面の不安を減らし取得を後押しするためで、一定期間を100%有給にした結果、取得率100%超を達成した企業も出ています。
Q6. 男性育休推進は企業の業績に本当にメリットがありますか?
A6. 調査では、男性育休の普及が従業員の定着やモラールにプラスに働き、中長期的には業績にも良い影響を与える可能性が示されています。
Q7. 最初の一歩として何から始めるのが現実的ですか?
A7. 経営方針の明文化と、子どもが生まれた男性社員と上司への「個別アプローチ」を標準化することが、コストを抑えた現実的な第一歩です。
まとめ
結論として、男性育休取得率の企業差は、「制度の整備」そのものではなく、「方針・風土・業務設計」がどこまで整っているかで決まります。
最も大事なのは、経営トップのコミット、数値目標の設定、個別アプローチ、経済的支援、事例共有などを組み合わせ、「取って当たり前」の文化をつくることです。
男性育休取得率を戦略的に高める取り組みは、従業員の定着・モラール向上だけでなく、人的資本経営や企業ブランドの向上にもつながる重要な投資です。
一言でまとめると、「男性育休は、企業が方針と仕組みと風土を整えれば、自然と取得率が上がる組織テーマ」です。




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