人材育成における課題の見つけ方とは?分析方法
- HUGME代表 高橋

- 7月14日
- 読了時間: 14分
育成課題はどう特定する?現場データを使った分析方法を解説
人材育成の課題は、「感覚」ではなく「現場データ」で特定するべきです。育成対象のスキル・行動・成果をスキルマップや人材データで可視化し、理想像とのギャップを分析することで、初めて「どこから手をつければよいか」がクリアになります。結論から言うと、戦略と連動した育成課題は「スキルマップ×人材データ(評価・離職・パフォーマンス)×現場ヒアリング」の3点セットで洗い出すのが最も現実的です。
【この記事のポイント】
「なんとなく人が育たない」をやめて、離職・評価・スキル・現場の声から育成課題を構造的に特定する流れがわかる。
スキルマップ、人材データ分析(ピープルアナリティクス)、現場ヒアリングを組み合わせた課題発見の具体ステップが整理できる。
今日から始められる「まず1部署・1職種分の簡易スキルマップ+データ集計+ヒアリング」の小さな一歩がイメージできる。
今日のおさらい:要点3つ
人材育成の課題は、「評価コメント」や「上司の感覚」だけでは偏りが出る。スキル・行動・成果のデータと現場の声をセットで見る必要がある。
よくあるのが、「離職率が高い」「若手が育たない」といった“症状”だけを見て、原因の特定や優先度付けをしないまま施策に走ってしまうパターン。
失敗しないためには、「戦略→理想の人材像→スキルマップ→人材データ分析→現場ヒアリング→育成テーマの絞り込み」という順番で課題を特定し、数値とストーリーの両方で納得できる状態をつくることが重要。
この記事の結論
一言で言うと「育成課題の特定は、“スキルマップ×人材データ×現場ヒアリング”でギャップを見える化する作業」です。
最も重要なのは、経営・事業の方向性から「育てたい人材像」を定義し、その像に必要なスキルをスキルマップ化した上で、評価・離職・成果などのデータと掛け合わせて“どの層の・どのスキルに一番ギャップが出ているか”を特定することです。ここがクリアにならないまま施策を打っても、的外れな投資になりがちです。
失敗しないためには、「データだけ」「現場の声だけ」に偏らず、定量と定性を行き来しながら課題を絞り込むこと、最初から全社で完璧を目指さず、“1職種×1年”の単位で試しながら精度を高めていくことが欠かせません。小さく試し、得られた知見を横展開する流れが、最終的には最短の近道になります。
なぜ育成課題は「見えにくい」のか
「なんとなく育っていない」で止まってしまう
正直なところ、「最近、若手が育っていない気がする」「マネージャーが弱い気がする」といった“気がする会議”になってしまうこと、よくあります。
会議室で同じような言葉がぐるぐる回り、「結局、今年も管理職研修を手厚くしようか」という結論に落ち着く。
会議が終わったあと、エレベーターの中で「本当にそこが一番のボトルネックなんだろうか」と小さくつぶやいてしまう——そんな経験が一度や二度ではありませんでした。
組織課題の見つけ方を解説する記事でも、「よくある課題を“離職率が高い”“育成がうまくいかない”といった現象のレベルで捉えたままだと、対策が場当たり的になりやすい」と指摘されています。
まずは「事業戦略・現状の把握→課題の可視化→原因の特定→施策立案」というステップを踏むことが重要だとされています。
人材育成の現場でも、「研修を増やす」「1on1を強化する」といった“手段”の議論が先に立ち、「そもそも今どんなギャップが一番大きいのか」が曖昧なまま進んでしまうケースが少なくありません。
データがバラバラで、「点」でしか見えていない
人材データを課題解決に繋げるための解説では、「人事データは蓄積されていても、人材施策に活用されていないケースが多い」と指摘されています。
評価・勤怠・異動・離職などのデータがシステムごとに分散しており、「どの層でどんな課題が生じているか」を一望できないことがボトルネックになりがちです。
記事では、人材データの読み解き方として以下のプロセスが紹介されています。
データの特性把握(何年分か、どの範囲か)
複数の視座で見る(属性別・部署別など)
全体を俯瞰した上で詳細分析に入る
この「複数の視座」がないと、「離職率が高い部門」と「パフォーマンスの高い部門」が同じように扱われてしまい、育成の優先順位もぼやけてしまいます。
ライトワークスのスキルマップ×人材データ分析の解説でも、「スキルマップをピープルアナリティクスの視点で捉え直し、生きた戦略ツールへと進化させることが必要」とされており、人材データとスキル情報の統合が鍵だと説明されています。
「現場の肌感覚」と「データ」がかみ合っていない
データ活用人材に関するコラムでは、「データは現場の業務フローや市場環境の理解とセットで扱わないと、有効な施策に落とし込めない」と指摘されています。
単に数値を眺めるだけでは、「なぜそうなっているのか」「現場で何が起きているのか」が見えてきません。
また、成果につながるデータ活用のための事例解説では、「課題の見つけ方」は現場担当者との対話から生まれたと述べられています。
机上のデータだけでなく、現場との接点を持つことで初めて本質的な課題設定ができるとしています。
私がある営業組織を分析したときも、最初は「若手の離職率が高い」という数字だけを見て、「オンボーディング研修を増やそう」という話になりかけました。
しかし、現場ヒアリングをしてみると、「先輩のフォローがバラバラ」「評価の軸が分からない」「“できていない”と叱られるが、何ができればいいのかが示されない」という声が多く、課題は研修というより「育成の基準とフィードバックの仕組み」にあることが見えてきました。
正直なところ、データと現場の声はどちらか一方では不十分です。両方を行き来しながら、「数字の裏側で何が起きているか」を立体的に見ることが、育成課題の特定には欠かせません。
現場データを使った育成課題の特定ステップ
ステップ1 – 戦略から「育てたい人材像」を明らかにする
事業戦略と人材要件を紐づける
ライトワークスのスキルマップ活用の記事では、「スキルマップは、ビジョン・人材ポリシーと連動して設計すること」が重要だとされています。
つまり、「今後3〜5年でどんな事業をどう伸ばしたいか」という戦略から、「どんなスキルを持った人材がどれだけ必要か」を逆算する発想です。
組織課題の見つけ方の記事でも、まず「経営戦略や事業の方向性」を整理し、「その実現を妨げているのは何か」という観点で課題を洗い出すことが推奨されています。
例えば:
新規事業を拡大したい → 仮説構築・検証・プロジェクト推進スキルを持つ人材が不足
既存事業の収益性を改善したい → 原価管理・業務改善・データ分析スキルを持つ中堅層が不足
顧客満足度を高めたい → 顧客理解・コミュニケーション・現場リーダーシップが課題
といった具合に、「戦略→求める人材像→必要スキル」の流れを言語化します。
私がある会社でやったときは、「3年後の売上構成」と「注力領域」を経営陣と確認したうえで、「そのときに“いないと困る人材像”を3つ挙げてください」とお願いしました。
出てきたのは、「データを使って提案できる営業」「プロジェクトを横断的に束ねられる人」「現場で教えられるリーダー」。
この3つのイメージを土台に、育成課題を見ていくことになりました。
スキルマップで「あるべき姿」と現状を整理する
スキルマップと人材データ分析の解説では、「スキルマップに必要な要素として、業務棚卸し・スキルの洗い出し・スキルレベル定義・スキル保有状況の見える化」が挙げられています。
これにより、「どの業務にどのスキルが必要か」「誰がどのレベルまでできているか」を一覧で把握できるようになります。
導入事例では、「人材育成状況をスキルアセスメントで見える化し、育成すべき人材像と評価基準を定めた上で、実課題の解決を伴走するアプローチ」が紹介されています。
ここでも、「スキルの可視化→育てたい像の言語化→実務での伴走」という流れが示されています。
実際に私が関わった現場では、営業職向けに10〜15項目程度のスキルマップを作り、「レベル1〜4」で定義しました。
「ヒアリング力」「提案設計力」「クロージング」「社内調整」などの項目について、自己評価と上司評価を集めて一覧にしたところ、「ヒアリングは強いが提案設計で止まっている人」「全体的に平均的だが一つも尖っていない人」など、これまで感覚的だった特徴が可視化されました。
この段階ではまだ「課題特定」ではなく、「あるべき姿」と「現状のスナップショット」を準備するステップです。
ステップ2 – 人材データを掛け合わせて「どこにギャップがあるか」を見る
評価・離職・成果データとスキルを統合して見る
人材データ活用の解説では、「複数のデータを掛け合わせて見ること」が重要だとされています。
単にスキルレベルだけを見るのではなく、評価・異動・離職・パフォーマンスなどと組み合わせることで、「どのスキル不足がどんな結果に結びついているか」が見えてきます。
具体的には、例えばこんな分析です:
スキルマップ×評価 → スキルレベルが低い項目と評価の関係を確認
スキルマップ×離職 → 特定のスキルが低い人ほど早期離職していないか
スキルマップ×成果(売上など) → どのスキルが成果に最も相関しているか
ライトワークスの記事でも、「スキルマップを人材データ分析の視点で捉え直し、戦略的タレントマネジメントにつなげる」必要性が述べられており、スキルと人事データを連動させる仕組みの重要性が強調されています。
組織課題の見つけ方の記事でも、「離職率が高い」という課題を扱う際には、部署別・職種別・年次別などに分けてデータを見ることが推奨されています。
例えば「若手営業の3年以内離職が突出している」など、焦点を絞ることで育成課題も明確になります。
私が分析した会社では、営業2〜5年目のスキルマップと売上データを掛け合わせました。
すると、「案件数」は多いが「提案設計」のスコアが低い人は、売上の伸びも頭打ちになっている一方、「提案設計」と「クロージング」が一定レベル以上の人は、担当顧客数が同じでも売上が大きく伸びていることが分かりました。
この瞬間、「育成課題として一番効くのは、“提案設計力”かもしれない」と、データと体感の両方がつながりました。
複数の視点でスライスし、「優先順位の高いギャップ」を特定する
人材データの読み解き方では、「複数の視座でデータを見る」ことが強調されています。
年齢・職種・部署・等級・勤務地などの軸でスライスし、それぞれにどんな特徴があるかを確認します。
組織課題の見つけ方の記事では、「よくある課題」の例として、以下が挙げられています。
事業戦略が社内に浸透していない
離職率が高い
育成がうまくいっていない
管理職が育っていない
コミュニケーション不足
働きがいが低い
これらを「属性別にどれほど顕在化しているか」をデータで確認し、特に影響の大きいもの・増加傾向にあるものを「優先課題」として設定する流れです。
私が一度やったのは、「若手(〜入社5年目)」「中堅(6〜10年目)」「管理職」の3層で、離職率・評価分布・スキルギャップのレーダーチャートを作ることでした。
目に見えて歪みが大きかったのは「中堅層のマネジメントスキル」。
正直、それまでは若手育成に意識が向きがちでしたが、データを見た役員が「中堅がしんどい構造だな」と一言呼吸を漏らし、その瞬間に育成の優先順位が変わりました。
ステップ3 – 現場ヒアリングと対話で「なぜ」を掘る
データを持って現場に行き、「肌感覚」と照らし合わせる
成果につながるデータ活用事例では、「課題の見つけ方」は現場担当者との対話から生まれたとされています。
机上で仮説を立てるだけでなく、実際に現場の担当者と会話を重ねることで、データの意味や背景が見えてくると説明されています。
具体的な進め方としては:
分析結果の簡単なグラフや表を用意する
現場のマネージャーやメンバーに見てもらい、違和感や納得感を聞く
「この数字の裏で、実際にどんなことが起きているか」をストーリーで聞く
ピープルアナリティクスの視点からも、「人材データ分析は現場との対話を通じて仮説を検証し、施策設計に落とし込むことが重要」とされています。
私が営業部のヒアリングをしたとき、「提案設計スキルが低い層で売上が伸び悩んでいる」というグラフを見せました。
あるマネージャーが、「正直なところ、提案書を“なんとなく整える”だけで、顧客の課題をきちんと整理できていないケースが多いんです」と話してくれました。
別のマネージャーは、「実は、現場では“提案の型”を誰も教えられていない」と続けました。
この2つの声を聞いたとき、数字に現れていたギャップの輪郭がくっきりと見えました。
現場の「感情」も課題のヒントとして扱う
データ活用人材に関する解説では、「現場の業務フローや市場環境の把握が不可欠」とされていますが、その背後には、現場の人が感じている「やりづらさ」や「やりがい」も含まれます。
数字だけでは見えない「感情のデータ」も、育成課題を特定するうえで重要なヒントです。
私はあるとき、若手社員グループに「最近、仕事で“モヤッとした瞬間”を3つ書き出してもらう」ワークをしました。
出てきたのは、「質問したいが、忙しそうで声をかけるタイミングが分からない」「“もっと考えて”と言われるが、何をどう考えればいいのか分からない」「評価シートの言葉が抽象的で、自分のどこが足りないのかが見えない」など。
これらはすべて、「育成の場の設計」と「フィードバックの伝え方」に関する課題であり、単なるスキル不足ではないことが分かりました。
組織課題の見つけ方の記事でも、「従業員サーベイやエンゲージメント調査から、“今の組織状態”を把握する」ことが推奨されており、定量・定性双方のデータの活用が提案されています。
よくある質問(FAQ)
Q1.育成課題の特定に、最低限どんなデータが必要ですか?
A1.離職率・評価分布・スキルマップ(または簡易版のスキル一覧)・年齢や職種などの属性データがあると、優先課題を絞りやすくなります。最初から全てを揃えようとせず、手元にあるデータから始めて、足りないものを徐々に整えていく姿勢が現実的です。
Q2.データがあまり整っていない場合は、どう始めればいいですか?
A2.まずは1部署・1職種を対象に、スキル項目の一覧と簡単な自己評価・上司評価を集めることから始めるのが現実的です。そこに離職や評価の情報を少しずつ重ねていきます。最初の試行で得た知見を、その後の本格展開に活かすイメージで取り組むと、長続きします。
Q3.スキルマップ作成が難しそうです。簡易版でも意味がありますか?
A3.あります。重要スキルを10前後に絞り、レベル3段階程度で定義する簡易版でも、育成課題の可視化には十分役立つとされています。完成形を目指して動けなくなるより、簡易版で動き始め、現場のフィードバックを受けて改良していくほうが結果的に早く活用できます。
Q4.データと現場の声が食い違ったら、どちらを優先すべきですか?
A4.どちらかを否定するのではなく、「なぜ違って見えるのか」を対話で探ることが大切です。多くの場合、条件の違いや見ている範囲の違いが原因です。食い違いそのものが新しい発見につながることも多く、貴重な分析材料として扱いましょう。
Q5.育成課題はどれくらいの頻度で見直すべきですか?
A5.最低でも年1回、できれば半期ごとに人材データと戦略の変化を踏まえて見直すことが推奨されます。事業環境が大きく変わったタイミング(新事業立ち上げ・組織改編など)では、臨時の見直しも検討する価値があります。
Q6.データ分析の専門家がいないのですが、外部に頼るべきですか?
A6.高度な分析は外部支援も有効ですが、「集計・可視化・基本的なクロス集計」レベルから始めれば、社内メンバーでも十分着手できます。Excelやスプレッドシートで基本的なクロス集計を行うだけでも、感覚以上の発見が得られることが多いです。
Q7.データに頼りすぎて、“現場感覚”が失われるのが不安です。
A7.データは「問いを立てるための材料」であり、答えではありません。データで仮説を立て、現場との対話で検証するサイクルを意識すると、バランスを保ちやすくなります。数字を見たうえで現場に足を運ぶ習慣を持つことで、両者の良さを活かせます。
まとめ:育成課題を「感覚」から「データと対話」で捉え直す
育成課題の特定は、「なんとなく若手が育っていない」ではなく、「どの層で・どのスキルが・どの程度不足しており、その結果どんな問題(離職・成果・エンゲージメントなど)が起きているか」を可視化する作業です。
現場データを使った分析では、「戦略と求める人材像の明確化→スキルマップによるあるべき姿の整理→人材データ(評価・離職・成果)との掛け合わせ→現場ヒアリングによる“なぜ”の掘り下げ」というステップで、定量と定性を往復しながら育成テーマを絞り込みます。
完璧な仕組みを一度で作るのではなく、「1職種・1部署・1年」の単位でスキルマップとデータ分析を試し、その成果と学びを横展開していくことで、育成課題の特定プロセス自体が組織の“標準の思考法”として根付いていきます。
こういう状態なら、今すぐ「育成課題の見える化」に踏み出すべきです。
研修や施策は増えているのに、「結局どこが一番のボトルネックなのか」が曖昧なままになっている
会議で「若手が」「中堅が」「管理職が」と話題になるたびに、議論がループしている感覚がある
経営に「人材面の課題は何か?」と聞かれたとき、感覚値以上の説明ができずにモヤモヤする
逆に、「これから人材データやスキルマップを活用した育成を始めたい」と思っている段階なら、今が“最初の1部署・1職種”を選ぶベストタイミングです。迷っているなら、まずは「最も事業インパクトの大きい職種」を1つ決めて、「スキル項目の洗い出し→簡易スキルマップ→評価・離職・成果の基本集計→現場ヒアリング」の4ステップから始めてみるのがおすすめです。
あなたの会社では、まずどの職種(営業・製造・バックオフィス・DX人材など)から、現場データを使った育成課題の特定に着手したいですか?




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