【両立支援・働き方改革】持続可能な組織づくりに必要な一体設計の考え方
- HUGME代表 高橋

- 3月26日
- 読了時間: 9分
【両立支援・働き方改革】持続可能な組織づくりに必要な一体設計の考え方
結論として、両立支援と働き方改革は「別々の施策」ではなく、長期的に人が辞めずに力を発揮し続けるための一体の仕組みとして設計することが重要です。両立支援でライフイベントを乗り越えやすくし、働き方改革で日常の働き方を最適化することで、個人のウェルビーイングと組織の生産性を同時に高めることができます。
【この記事のポイント】今日のおさらい:要点3つ
両立支援と働き方改革の本質は、「ライフイベントがあってもキャリアを諦めなくていい組織」と「日常的に無理なく成果を出せる働き方」をセットで整えることにあります。
実務の軸は「①制度(休暇・時短・在宅)」「②運用ルール(会議・業務設計・評価)」「③マネジメント(上司とチームの意識とスキル)」の三点セットで、形骸化しない両立支援と働き方改革を実現することです。
持続可能な組織づくりには、「短期の業績」だけでなく「人的資本(健康・スキル・関係性)」を中長期で積み上げる視点が不可欠であり、両立支援と働き方改革はその中核となる投資領域です。
この記事の結論
両立支援と働き方改革はなぜ"セット"で考えるべきか?
結論として、両立支援と働き方改革は「人が辞めない組織」と「人が力を発揮し続ける組織」を実現する両輪であり、どちらか片方だけでは持続可能な組織にはなりません。一言で言うと、「ライフイベント対応」と「日常の働き方の見直し」を同時に進めることが重要です。
両立支援だけを強化しても、日常の業務が長時間労働・属人化・対話不足のままでは、休業や時短を選んだ人だけに負担や罪悪感が集中し、「制度はあるが使いづらい」状態になります。逆に、働き方改革だけ進めても、育児・介護・治療などライフイベント時の支援が弱ければ、優秀な人ほど「将来が不安」と感じて離職を選びがちです。
この「片輪だけでは機能しない」という構造は、多くの企業が制度を整えながらも定着や生産性の改善が進まない原因の一つです。制度の整備と日常の働き方の変革を同時に進めることで初めて、「使える制度」「続けやすい職場」の両方が実現します。どちらか一方が欠けた状態では、社員にとっての安心感も組織としての成果も、中途半端なままになりやすいのです。
会社目線では、短期的には人件費や制度コストが増えるように見えても、中長期には採用・育成コストの回収率向上、離職率低下、ブランド力向上という形でリターンが返ってきます。人的資本経営の観点からも、両立支援と働き方改革への投資は「コスト削減の敵」ではなく、「持続的な競争力の源泉」です。
両立支援と働き方改革はどこから整えるべきか?
まず「現状の働き方」と「ライフイベントの実態」を見える化する
結論として、最初の一歩は「何がどこで詰まっているのか」を可視化することです。一言で言うと、「感覚ではなく事実から設計する」ことが重要です。
働き方の現状として、部署別・職種別の残業時間・有給取得率・在宅勤務の利用状況、会議時間の割合やメール・チャット対応に費やす時間感覚を把握します。ライフイベントの実態として、育児・介護・治療などで両立が必要な社員数と属性、現状の制度利用者数とその後のキャリア(昇進・異動など)を整理します。
これらを把握することで、「どの層で両立が難しくなっているのか」「制度はあるのに使われていないのか」など、打つべき優先順位が見えてきます。現状把握を省いて制度を拡充しても、課題の根本にアプローチできず「やったが変わらない」という状況になりがちです。データとヒアリングを組み合わせた現状把握が、効果的な施策設計の出発点です。
制度整備の"優先3本柱"を決める
一言で言うと、「全部やろうとせず、インパクトの大きい3本柱から整える」のが現実的です。
休暇・休業制度として、育児・介護休業・子の看護休暇・治療と仕事の両立支援(通院休暇など)、時間単位・半日単位の有給など柔軟に休める仕組みを整えます。時間・場所の柔軟性として、時短勤務・フレックス・在宅勤務の導入と運用ルール(会議時間帯・出社頻度など)を明確にします。両立支援の相談窓口として、人事・産業保健・外部相談窓口など「困ったときにどこに相談すればよいか」を明確にします。
制度は「使いやすさ」が命です。申請プロセスを簡略化し、利用しても評価に不利にならないという明確なメッセージをセットにすることが大切です。どれだけ充実した制度を用意しても、「使うと後ろめたい」「申請が面倒」という心理的・手続き的ハードルがある限り、活用率は上がりません。制度設計と同時に、利用を後押しする職場文化とプロセスを整えることが求められます。
日常の働き方改革と"つなげて"設計する
両立支援は「一部の人向けの特別制度」ではなく、「すべての人の働きやすさを高める働き方改革」とつながっています。会議改革として、開始・終了時間のルール(例:原則17時以降は会議を入れない)を設け、目的・アジェンダ・役割を明確にしてオンライン活用で移動時間を削減します。業務の標準化・分担として、属人化を減らすマニュアル・引き継ぎの整備と、特定の人に仕事が集中しないペア体制・クロストレーニングを導入します。成果基準へのシフトとして、「長くいる人が評価される」から「限られた時間で成果を出す人が評価される」評価指標へ移行します。
これらは、両立支援を"特別扱い"ではなく、"組織全体のパフォーマンス向上策"として位置づけるうえでも重要です。働き方全体が見直されることで、時短勤務者や育休復帰者が職場に戻りやすい環境が自然に整っていきます。
両立支援と働き方改革を成功させるマネジメントと現場の工夫は?
上司の「対話力」と「業務設計力」が勝負を分ける
結論として、制度があっても現場でのマネジメントが変わらなければ、両立支援と働き方改革は進みません。一言で言うと、「上司が鍵」です。
対話力として、1on1などで「今の負荷」「家庭側の事情」「キャリアの希望」を定期的に聞き、「言ってくれれば配慮する」ではなく「こちらから聞きに行く」姿勢を持ちます。業務設計力として、繁忙期・閑散期の波を考慮した担当業務の設計と、在宅勤務者・時短勤務者のためのタスク調整(時間帯をまたぐ仕事の分担など)を行います。チームマネジメントとして、両立支援を"特別扱い"ではなく"チームで支え合う前提"として説明し、両立支援による負荷が一部メンバーに集中しないよう分担と感謝の表現をセットで運用します。
上司が「両立支援=自分の負担増」と感じている限り、本気の支援は難しいため、会社として上司自身の業務負荷軽減や支援も重要です。管理職研修でこうした視点を扱い、「両立支援はチーム全体の成果にプラスになる」という認識を広げることが、制度の形骸化を防ぐ有効な手立てになります。
現場メンバーの「納得感」を高める工夫
両立支援や働き方改革が現場で反発を生みにくくするには、「なぜこれをやるのか」をチーム全体に丁寧に説明することが欠かせません。伝えるべきポイントとして、「誰もが将来、育児・介護・治療など両立が必要になる可能性がある」こと、「両立支援は特定の人のためではなく、チーム全員の安心のための仕組みである」こと、「制度を利用する人も、チームメンバーも、お互いに感謝と配慮を言葉にする文化を作りたい」ことを共有します。
また、「どこまでが会社の責任で、どこからがチーム内での話し合いなのか」を明確にし、モヤモヤを放置しないことも大切です。現場のメンバーが「なぜ自分たちが協力しなければならないのか」を理解し、納得できると、チームとしての助け合い意識も自然と高まります。
経営層が示すべきメッセージと指標
両立支援と働き方改革を「本気でやる」と示すには、経営層のコミットメントとKPI設定が欠かせません。経営メッセージとして、「長く働き続けられる会社」を目指すことを明言し、経営層自らもワークライフバランスに配慮した働き方・休暇取得を実践することが求められます。指標としては、残業時間・有給取得率・育休取得率(男女別)・育休復帰率・時短勤務者の評価分布、エンゲージメントスコア・健康指標(ストレスチェック結果の傾向など)を定期的にモニタリングします。これらを改善の進捗として開示することで、「言っているだけでなく、実際に変えようとしている」と社員が感じられるようになります。
よくある質問
Q1. 両立支援を強化すると、業績にマイナスになりませんか?
A1. 結論として、短期的な調整コストは発生しますが、中長期には離職率低下・採用力向上・生産性向上を通じてプラスに働くケースが多く、投資と見るべき領域です。
Q2. 働き方改革だけ先に進めて、両立支援は後回しでもよいですか?
A2. 一部は可能ですが、ライフイベント対応が弱いと特に中堅層の離職リスクが高まります。できる範囲で両立支援も段階的に進める方が安全です。
Q3. 両立支援制度を整えても、社員が使いたがりません。
A3. 結論として、「使った人が不利にならない」という実績と、「上司が歓迎する姿勢」を示さない限り、心理的ハードルは下がりません。制度の周知とロールモデル紹介が有効です。
Q4. 時短勤務やテレワークで"サボり"が増えないか心配です。
A4. 成果基準・目標管理を明確にし、アウトプットで評価する仕組みを整えれば、勤務形態の違いによる不公平感や不信感を抑えやすくなります。
Q5. 両立支援で負荷が増えるメンバーへのフォローはどうすべきですか?
A5. 結論として、業務量の見直し・人員の一時的な追加・感謝と評価の明示など、「やりがい」と「報われる仕組み」の両面でフォローすることが重要です。
Q6. 中小企業でも、両立支援と働き方改革に取り組む余裕はありますか?
A6. すべてを一度に整える必要はなく、「会議時間の見直し」「残業削減」「柔軟な休暇取得ルール」など、コストの小さい施策から始めることが現実的です。
Q7. 現場の管理職が両立支援に消極的な場合、どう変えていけばよいですか?
A7. 結論として、「両立支援が管理職自身の業務を楽にする」側面(採用・育成・離職対応コストの削減)をデータで示し、評価基準にも反映することで、行動変容を促しやすくなります。
まとめ
両立支援と働き方改革の本質は、「ライフイベントがあってもキャリアを続けられる支援」と「日々の働き方を最適化する改革」をセットで設計し、人が長く健康に力を発揮できる土台をつくることにあります。
実務の軸は、「現状の見える化→制度の優先3本柱の整備→日常の働き方改革との接続→マネジメントとチームの意識・スキル向上→経営のコミットと指標管理」という流れで、仕組みと現場の両方を少しずつアップデートしていくことです。
企業としては、両立支援と働き方改革を"コスト要因"ではなく、"人的資本への投資"として捉え、自社の規模と状況に合った一歩から始めつつ、「長く安心して働ける会社」であることを内外に示すことが、これからの持続可能な組織づくりの鍵になります。




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